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02 親方! 空から獣っ娘が!
初めに感じたのは柔らかな土の匂いと、さわさわと頬を撫でる若草のくすぐったさだった。
「ぅ、ん」
それから逃れようと何度か身をよじったところで、いつもとは何か違うことに感づき目蓋を開いた。寝起きのように霞む眼を擦りながら上半身を起こすと、爽やかな風が一塊になって体の表面を吹き抜けていった。
都会ではありえない清々しい涼を抱えた空気にぶるっ、と小さく身震いをしてから辺りを見回してみる。
座った姿勢のまま首を巡らせてみると、ちょうど首だけが草むらから飛び出す形になって周りの様子が覗えた。
そこには背の高い草が青々と伸び、一面に波打つ草原が広がっていた。
「なんで部屋の中に草が生えてんだよ、いやマジで笑える……草生えるわ」
我ながら、今すごいくだらないこと言ったな。
自己嫌悪に沈みそうになる頭をなんとか持ち上げ、視線を上に向けた。
「おっ、おぉおおお!!!」
小高い丘の向こう、長く伸びる草原の彼方、まず目に飛び込んできたのは天を貫く巨大すぎる大樹だった。
「おっおっおっおっ、ぉおおお!」
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