愛されイディの異世界観光

01 当選おめでとうございます！

「当選おめでとうございます！　あなたはランダムな抽選の結果、本日のラッキーな訪問者に特別に選ばれました！」

　――俺、知ってる。これ、フィッシング詐欺だわ。

「おいおいおい。詐欺とか、何を根拠にそんなこと考えてんの？　大丈夫かよ。
　目の前にいるのが誰なのか分かっていながら考えてるなら、そりゃギャグだ。テレビがゴリ押しで流行らそうとしてる一発屋みたいに、これ以上なくスベッてる類のね。
　改めて言っておく必要もないだろうけど……僕、神様だよ？」

「誠に申し訳ございませんでしたっ！」

　見た目、完全なショタっ子に完璧な土下座を披露するあたり、俺という人間も末期かも知れない。
　しかし、社会人六年目を甘く見ないでもらいたい。腰の低さには自信がある、なんなら保証書をつけても良い位に。断じて、ヘタレなどではない。

「ああ、いいんだ。僕も別に君のストレスをかさ増ししに来たわけでも、休日を叩き潰しに来たわけでもないんだ。さっきも言ったように君が抽選の結果、選ばれたってだけの話さ」