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俺のベッドに我が物顔で腰かけ、アニメ消化のお供に買っておいた古池屋のポテチのり塩味をバリバリと咀嚼している、ランドセルが似合いそうな黒髪少年姿の自称神様が何の前触れもなく、文字通り俺の目の前に『現れた』のがちょうど十分前の出来事だった。
特に何事かがあった訳でもないが、この存在を目にした瞬間、起源とか理由とかそんなものは全部吹っ飛ばして理解させられた。
――なんか、もう……あかんわ。
理由もなく関西弁に侵食されるぐらいヤバかった。
恐怖に震えるとか畏敬のあまり平伏すとかではなく、ただ自我が溶かされていた。意志とか精神とか、そういった類いのものがまるっと漂白されて、目の前の存在の全てを受け入れようとしていた。
あのまま神様が神の威光というやつを抑えてくれなければ、俺という存在は綺麗さっぱり消えていただろう。それが何でもなく確信できた。
最近流行りの異世界転生もののラノベでよく神様に物申す輩がいるが、あいつら絶対にサイコパスの類だね。じゃなかったら自己愛性パーソナリティ障害の怪物としか思えない。
相手の胸三寸で自身の如何が決まるというのに、注文をつけるとか正気じゃない。
――しかし。しかし、だ。これだけは言わねばなるまいっ! そう、そのポテチは
「それ俺の……」
「なんか言った?」
「いえっ! 恐縮ですが可能であればもう一度ご説明いただけたら、感動のあまり感涙するなと考えていた次第であります、はい」
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