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ああ、俺には無理だったよ。分かっていたけどね、会社の後輩にすらやり込められる俺じゃあ、どうやったって神様に具申申し上げるなんて不可能だった。うん、知ってたわ。
「まあ、いいけどね。ようするにこっちの世界に短期観光に来てって話だよ」
「はぁ。観光ですか……」
要約すると、互いに大きくなり過ぎた世界同士が交わり、今後一〇年ぐらいの内に相互に繋ぐ扉(ゲート)のようなものが出来上がってしまうので、その前にこっちと向こうで互いに一〇人ずつ見繕いテスターを兼ねて世界を観光しもらう。
そして、世界が繋がった際に互いの世界の良さを知ったその二〇名に緩衝役になってもらいたい、という話だった。
「つかぬ事をお聞きしますが、それの人選はどうやってお決めに……?」
「あみだ」
「あみだですか?!」
「うん。こっちの世界からうちの世界にくる人を決めるだけでも約七億五〇〇〇万分の一を決める、あみだくじ。
なかなかに壮観だったよ、僕も約七十五億人分の名前が横並びになってるのを見るなんて初めてだったからね。
名前一枠三センチ×七十五億で二百二十五億センチ、キロになおして二十二万五〇〇〇キロ。地球約五週分の画用紙にあみだとか、よく一日で作ってくれたもんだよ。そして目を抉りたくなるような、くじの遅々とした進み具合ときたら!
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