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相手の目的やメリットを聞いていてもなお、あまりに俺に旨みがありすぎる。懐疑的な視線を送りそうになる俺を気にも留めず、自称神様は揚々とよく回る舌を動かし続けた。
「まあ短期の観光とは言ったものの、うちの世界はファンタジックなのが売りだからね。
人種も様々、森人族(エルフ)に岩人族(ドワーフ)に小人族(リンクル)、水人族(マーレン)なんかもいるし。野生の生き物も精霊からドラゴンまで色んなのがいるから危険がない訳じゃない。
でもそんな世界を冒険するのも、一興だろ?
だから君には世界を渡るにあたって特別賞をあげよう。異世界特典ってやつさ。
さぁ、望みを言ってごらん。俺Tueeeでも俺無双でも俺さすおにでも、なんでも好きなチートをあげようじゃないかっ!」
両手を広げて満面の笑みを浮かべる見た目小学生の自称神様。
いよいよもって詐欺臭、いやいやいや、俺は何も考えていない。そうともこんな有難いお話にオマエそんな不敬な。
腹の底から湧き上がる喜びを持って甘受、ではなく謹んでお受けしよう。
「で、では。『死なないようにしてください』」
「死なないようにする?」
「は、はい……宜しいでしょうか?」
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