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しかし俺としては冒険も戦闘も無双も御免こうむりたい。何しろ、こちとら地球でも有数の平和ボケもとい安全な国家である日本で生まれ育ったのだ、子供の喧嘩ぐらいならまだしも殺し殺されなんて論外だ。
最近流行りの異世界転生もののラノベでよく自分から殺し合いに飛び込んでいく輩がいるが、あいつらも絶対にサイコパスの類だね。じゃなかったら殺戮快楽嗜好の怪物としか思えない。
そもそも殴るどころか、他人に意見するのさえ胆力がいるというのに。これは俺がヘタレだとかそういうのではなく、誰もがそうであるに違いない筈だよまさしく。
「それは絶対的な防御力の類かな?」
「いえ。その、肉体的なダメージを受けない。というよりは、ダメージの判定そのものが存在しないというか、対象にならないというか」
「ああ、なるほどね。死や攻撃、敵意や害意の対象そのものから外してくれってことか」
「は、はいっ。その通りです」
そして何より、この神様が持って来てくれたお話というのは『観光』なのだ。そう観光と言えば名所巡りと美味い物食い倒れ以外ないだろう。
なんと言っても異世界である、ファンタジーである。こちらの世界じゃありえない、雄大で耽美で超自然的な情景が、見渡す限り広がっているような世界。
空に浮く島、深海の都、妖精たちの楽園。
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