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想像しただけで胸が躍るような風景を眺めながら、異世界特有の美味い物を食べる。これ以上のことをファンタジー世界に行ってやるべきじゃない。
「OKOK。ふふふ、なるほどね。
何を心配することなく、安全安心に異世界の超絶景を堪能したいと。
生活やお金、健康の心配をせずに異世界の料理に舌鼓を打ちたいと。
心置きなく心行くまでファンタジーにどっぷりと足の先から頭の上どころか五臓六腑にいたるまで浸りきりたいと。
いいじゃないかっ!」
「あの、はい。概ね合っているんですが、そんな大袈裟には……」
「宜しいとも『絶対安心、何をせずとも大丈夫』を最重要事項(モットー)に、君がうちの世界で何に気兼ねすることもなく過ごせるよう万全を期そうじゃないかっ!
君はただ、美しい絶景に見たこともない料理に心奪われてくれていれば、それでいい。なに、僕は神様だ。
――安心してくれて良いよ」
――俺、知ってる。これ、安心できないやつだわ。
盛大にボルテージを上げて一人で昂っていく神様を見ながら、話を聞いてくれない上司と対面している気分になった。やる気ばかり大きくなって、わざわざ仕事を作ってきてくださるような真面目なお方ってのは、本当に手に負えない。
そのまま昂っていって、天にお帰りになってくれないもんかな……。
「はい。じゃあ、親指だして」
「……へっ?」
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