夢の叶え方

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夢の叶え方

自分で言うのもなんだけど、私は本当に華がない。 顔は決して悪くない。でも美人ですかと訊かれると、どうかなと首を傾げてしまう。 過去の学生生活でもずっと影の薄い存在だった。成績は中の上、運動も普通、特に部活動などで大きな成績を残すわけでもなく、クラスのムードメーカーとか逆にいじめられっ子だったりとかの特徴もない。 小学校、中学校、高校、そして大学と進んで、特に何事もなく時だけが過ぎた。 いや、そんな私でも大学では彼氏ができた。でも、これも私に良く似た普通の人。サークルで知り合って、なんとなく仲良くなって、告白されて、付き合って。大学卒業前に別れた。 その後も平凡な会社の事務職に就き、同じ部署にいる会社のモテ女、浜中さんの陰で、ひっそりと過ごしている。 朝起きて、顔を洗い、メイクして身だしなみを整え。同居している飼い猫ノマルに見送られながら会社に出かける。 満員電車に揺られて会社についたらタイムカードを押して、席に向かう。 簡単に掃除をしたら始業。黙々と事務作業。 たまに来客が来たらお茶出しだけど、浜中さんがやるとお客もニコニコ、私がやると普通のビジネス対応。何が違うんだろう。やっぱりビジュアルかな。 終業時間になったら片付けて帰宅。 たまに同僚の片岡さんと一緒に街で遊んで帰る。 遊んでと言っても、片岡さんも私と同じ地味な子で、子供がやるようなガシャポンをやって遊んだり、ファミレスで雑談したり、ショッピングモールでウインドショッピングしたり。 あまり派手なことはしていない。 こんな生活がすでに三年続いている。 会社にもすっかり慣れて、仕事も大きな悩みはない。 敢えて言うなら給与の金額が低いかなっていう程度。 上司は特別に有能でもないけど、性格も悪くないので、厳しすぎるとかいうことは特にない。 何というか、当たり障りがない刺激のない毎日。 こんな私でも、実はひとつだけ夢がある。 イラストレーターになりたいのだ。 でも、私の描きたい絵は、他の人とは少し変わっているかもしれない。 私が描いているのは、素敵な女性とか、かわいらしい動物とか、心打つような美しい景色とか、そういうイラストではない。
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