大切な君

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「リューク様、ロウ様のいうことは適当に聞き逃していたらいいんですよ。ロウ様は、アイン様に昔弄られすぎて、ちょっといじけているだけなんです」 「そうじゃないだろう、フユ、間違っているよそれは。アインは、本当に嫌な奴なんだよ」 「ロウ様は、大好きな人に告白しようとして、その人が実は意地の悪い人だったというのを教えられて、拗ねているんです」 「フユ! リューク、俺はそんな狭い心の持ち主じゃないよ。一回じゃないんだ。俺が恋するたびに邪魔しやがって――」  ・・・・・・それは、ロウの女を見る目がないだけじゃ・・・・・・と言いたかったが、懸命に口を閉じた。 「ロウ様は、女運がないんですよ。二十歳の魔法でエドワード様に運命の人を探してもらうまで、散々でしたからね」  フユは容赦がなかった。ロウは、うつむき加減でフユに恨めし気な目を向けている。  この国には、二十歳の魔法というものがある。  二十歳になったら、一つだけ魔法で願いを叶えてもらえる機会(チャンス)があるのだ。  俺の願いは、『自分の運命の人を知りたい』だった。俺にはエリザしかいないと思っていたが、もしエリザに他の(例えばアインだが)運命の人がいるのなら、俺は諦めなければならないからだ。  だが、国王陛下は「今はまだ未知数だから駄目」といって教えてくれなかった。  俺がなのか、エリザなのか、他の何かなのか・・・・・・。未知数というのは、どういうことかと聞いても曖昧に微笑んで、国王陛下は何も言わなかった。 「そうだ、姫様も来年は二十歳だろう?」  国王陛下はエドなのに、エリザは姫様なのかと不思議に思う。 「ええ、エリザ姫は来年二十歳になります」  そしたら何を反対されても彼女を俺の妻にするつもりだ。エリザが嫌がらなければ・・・・・・の話だが。 「魔法使いにとっての二十歳は重要だからねぇ・・・・・・」    二十歳は結婚が出来る歳というほかに何かあっただろうか。 「リューク様・・・・・・そのお顔は・・・・・・」  流石昔からよく知っているフユには俺の疑問が筒抜けだったようだ。 「そうか、リュークはもう騎士団に入ってたからやってないのかぁ」 「何を?」 「忠誠の誓いです」 「エリザ姫はもう昔にすませていますよ」  意識のないときにエリザの真名を知っている国王陛下が勝手にやったはずだった。
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