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……果たしてどこからツッコんでいいかわからない。
「...すごく明るい人だね?杏子さんって...あははは...」
反応に困って、とりあえず苦笑いを浮かべる私。
「...東条、この人に会ったこと...」
「ない」
うん、まぁ...だろうね。
でも不思議だ。椿さんは音信不通になってた杏子さんとどうやって連絡をとったんだろう……?
「前々から...成瀬家は裏で椿さんを捜索してた。椿さんの学校には休学届を出して、行方不明なのを誰にも悟られないようにして...でもまだ見つかってなかったんだ。親戚と一緒にいるって可能性は考えてなかったみたいだし」
杏子さんって人はどういう人なんだろう...。
「その杏子さんの居場所がわかれば椿さんが見つかる...ってことだよね」
神妙な面持ちで頷く東条。
私はピンクの封筒をそっと撫でた。
今、椿さんはどこにいるの?
...どんな思いでいるの?
ゆらゆら、ゆらゆら、紅茶の液面が揺れる。
私にそっくりなお嬢様。東条の心の中に住む人。
感覚までもが共有できてしまえばいいのに...。
「山中...大丈夫か」
「あっ、ううん。ごめん、何でもない...なんかちょっとびっくりしただけ...ホント良かった!この調子だともうすぐ見つかるよ椿さん」
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