第1章 雨降る空とココアサブレ

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その夜。 モヤモヤが収まらなくて、私は親友の莉奈に電話することにした。 莉奈は私立の女子校に通ってるんだ(1巻参照)。 電話をかけると、2コールくらいですぐに莉奈が出た。 『ほいほーい、桃ー?』 「莉奈ー!ちょっと聞いてよぉ」 半泣きになりながら、椿さんが見つかりそうだということを話す。 相槌をうちながら聞いてくれる莉奈。 話し終わると大きなため息が漏れた。 「私...おかしいかもしれない」 『んー?なんでよ』 「だって椿さんが見つかること...心の底では望んでないんだよ?」 じわり、と涙が滲んだ。 知らなかった。恋するってこんなに自己チューになるものなのかな。 ダメだってわかってるのに、思考はうまく動いてくれない。 東条のこと、いっそ何とも思ってなければ。 ただのクラスメイトなら……。 『桃』 電話越しに莉奈の穏やかな声がした。 『私はそうは思わないよ。みんな誰だってそんな気持ち、抱えてるよ』 「そう...かな」 『桃はさ、椿さんの不幸を望んでる?』 「...そんなことは絶対ないよ!それはありえないって」 『でしょ?そんなこと望んでないよね。それでも...誰かよりも 高いところに行きたいって、誰かに選んでほしいって気持ちは止まんないからさ。理屈じゃないんだよ』
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