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その夜。
モヤモヤが収まらなくて、私は親友の莉奈に電話することにした。
莉奈は私立の女子校に通ってるんだ(1巻参照)。
電話をかけると、2コールくらいですぐに莉奈が出た。
『ほいほーい、桃ー?』
「莉奈ー!ちょっと聞いてよぉ」
半泣きになりながら、椿さんが見つかりそうだということを話す。
相槌をうちながら聞いてくれる莉奈。
話し終わると大きなため息が漏れた。
「私...おかしいかもしれない」
『んー?なんでよ』
「だって椿さんが見つかること...心の底では望んでないんだよ?」
じわり、と涙が滲んだ。
知らなかった。恋するってこんなに自己チューになるものなのかな。
ダメだってわかってるのに、思考はうまく動いてくれない。
東条のこと、いっそ何とも思ってなければ。
ただのクラスメイトなら……。
『桃』
電話越しに莉奈の穏やかな声がした。
『私はそうは思わないよ。みんな誰だってそんな気持ち、抱えてるよ』
「そう...かな」
『桃はさ、椿さんの不幸を望んでる?』
「...そんなことは絶対ないよ!それはありえないって」
『でしょ?そんなこと望んでないよね。それでも...誰かよりも
高いところに行きたいって、誰かに選んでほしいって気持ちは止まんないからさ。理屈じゃないんだよ』
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