第1章 雨降る空とココアサブレ

13/13
前へ
/122ページ
次へ
「...そっか」 理屈じゃない、か。 そう言われてみると...そうなのかも。 心がフッと軽くなる。 ...あれ? 「莉奈...私、東条が好きだって莉奈に言ったことあったっけ」 『え?んーん、そーいや聞いたことないですな』 「……今の話、さらっと聞いてくれてたけど...気づいてたの?」 『わかるよーさすがに。勉強会したときだって普通にオーラ出てたじゃん』 「オーラ...」 てか勉強会のときって...私本人でさえあの日の最後に自分の気持ちに気づいたんだけど。 もっと前から莉奈は...!? 「あぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!わゎ、なっ、」 声にならない叫び声が部屋中に鳴り響き、頬が真っ赤に染まっていく。 『ふふふふふ...ある意味桃より桃のことわかってるからね、私』 楽しそうにクスクスと笑いを漏らす莉奈。 恥ずかしすぎるよ...。 「もぉー!そういう莉奈はどうなのさ?なんかないの」 『えっ?...と、私?...は』 珍しく莉奈が歯切れ悪く呟いた。...おおっ? 「オイオイ莉奈さんーちょーっと詳しく聞かせてくれないかい?」 「あぁぁぁぁぁ!!!!!、何にもないってばぁぁぁ!」 形勢逆転だなっ! 私は笑いながら莉奈を茶化す。 心がふわっと軽くなっていく。 不安も嫉妬もあるけど。 怖がらずに向き合っていこう、と思う私だった。
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加