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しとしとしと……。
雨が窓に打ちつけ、耳障りな音を立てる。
私……山中桃は大きな溜息をついた。
「なーんか雨の日って...憂鬱になるんだよねぇ」
今は6月。絶賛、梅雨の時期だ。
怒涛のような中間テストが終わり、なんとなくゆるーく時間が過ぎていっている。
今日はバイトもないので暇だ。
学校もバイトもないってことは、イコールで東条に会えないってことだしなぁ……。
ぼんやりとそう考えて、ハッとした。
げっ、このごろ私東条のことばっか考えてない?
こんなモヤモヤ考えたって、何か変わるわけじゃないのにさ。
あ、東条っていうのは私のクラスメイトで、バイト仲間。
何のバイトかって?
...実は深いわけがあって、『お嬢様のフリ』をするバイトをしているのです。
成瀬グループっていう超お金持ちの家の一人娘である椿さんが、ある日突然失踪してしまって。
その椿さんにそっくりな私が、代役をすることになったのだ。
東条と椿さんは...んーと、一言では言い表せないので、説明は省いておくけど、幼いときの知り合い...みたいな感じかな。
あっ、そして重要なことがもうひとつ。
...私は東条のことが...どうやら好きなようです。
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