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「ふぅ……暇だな…」
「ふーん。暇なら手伝ってくれない?」
後ろから急に、誰かの声が降ってきた。
わっ、何、誰っ?
驚いて振り向くと、遠くの大学に通っていて家にはいないはずの兄・蒼葉が立っていた。
「うわっ!?...帰ってたのっ!?」
「んん、まぁね…ちょっと探し物」
「それが見つかんないってことか」
「むぅー……そうなんだよな」
お兄ちゃんは両手をパンパン、と叩く。
「机の引き出しに入れてたと思ったんだけど…桃、知らない?」
「知らない...ってか何探してんの?」
「ん……」
お兄ちゃんは口の中でもごもごと呟いたあと、やっぱいいや、と部屋に帰っていった。
...うん、ここで口ごもるってことは、これはほぼ確実に彼女絡みの探し物だな!
ほんっとリア充なんだからな...羨ましいわ。
私は大きな溜め息をつき、ベッドの上に放り出したままのスマホを手に取った。
都合良くこのタイミングで東条から電話かかってきたりとか...
しない、よねぇ……。
...って何考えてんの?私、単純バカ?
頬がかあっと熱くなる。
もう、ちょっと好きだって自覚したら急に恥ずかしくなってくるよ……。
スマホを再びベッドの上に放り出した、そのとき。
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