第1章 雨降る空とココアサブレ

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「ふぅ……暇だな…」 「ふーん。暇なら手伝ってくれない?」 後ろから急に、誰かの声が降ってきた。 わっ、何、誰っ? 驚いて振り向くと、遠くの大学に通っていて家にはいないはずの兄・蒼葉が立っていた。 「うわっ!?...帰ってたのっ!?」 「んん、まぁね…ちょっと探し物」 「それが見つかんないってことか」 「むぅー……そうなんだよな」 お兄ちゃんは両手をパンパン、と叩く。 「机の引き出しに入れてたと思ったんだけど…桃、知らない?」 「知らない...ってか何探してんの?」 「ん……」 お兄ちゃんは口の中でもごもごと呟いたあと、やっぱいいや、と部屋に帰っていった。 ...うん、ここで口ごもるってことは、これはほぼ確実に彼女絡みの探し物だな! ほんっとリア充なんだからな...羨ましいわ。 私は大きな溜め息をつき、ベッドの上に放り出したままのスマホを手に取った。 都合良くこのタイミングで東条から電話かかってきたりとか... しない、よねぇ……。 ...って何考えてんの?私、単純バカ? 頬がかあっと熱くなる。 もう、ちょっと好きだって自覚したら急に恥ずかしくなってくるよ……。 スマホを再びベッドの上に放り出した、そのとき。
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