8 分かれ道

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8 分かれ道

過ぎてしまうと、ひと月なんて、割とあっという間だと爽平は思う。 別に、誰かに話したくなるような事が起こった訳ではない。 良い思い出と言えるほどの何かが、有った訳でもない。 そして、感銘を受けるほどの人と出会った訳でもない。 それでも、ひと月という時の流れの間に、 それなりに人と出会い、それなりの事はあった。 そして、それが間もなく終わろうという時になり、 また少しだけ爽平の周りで物事が動いていた。 ボランティア作業が一ヶ所に絞られ総仕上げに入ると、 屋内作業の半分は、専門家の手が入ることになった。 だから屋内組のボランティアは、全員がその補佐役。 香川と山本は、壁紙、襖、障子の張り替え作業の補佐。 木下と佐藤は、村の女性たちが持ち込んだカーテンや食器、調理道具、 布団などの片付けに回る。
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