3人が本棚に入れています
本棚に追加
8 分かれ道
過ぎてしまうと、ひと月なんて、割とあっという間だと爽平は思う。
別に、誰かに話したくなるような事が起こった訳ではない。
良い思い出と言えるほどの何かが、有った訳でもない。
そして、感銘を受けるほどの人と出会った訳でもない。
それでも、ひと月という時の流れの間に、
それなりに人と出会い、それなりの事はあった。
そして、それが間もなく終わろうという時になり、
また少しだけ爽平の周りで物事が動いていた。
ボランティア作業が一ヶ所に絞られ総仕上げに入ると、
屋内作業の半分は、専門家の手が入ることになった。
だから屋内組のボランティアは、全員がその補佐役。
香川と山本は、壁紙、襖、障子の張り替え作業の補佐。
木下と佐藤は、村の女性たちが持ち込んだカーテンや食器、調理道具、
布団などの片付けに回る。
最初のコメントを投稿しよう!