世界で一番大切な君へ

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10月4日 『誕生日おめでとう』 奴からのお祝いメッセージ 今年で何度目になるだろうか? 最近仕事がお互い忙しくて全然顔を合わせていない。 メッセージを見たら急に声が聞きたくなり履歴欄から通話のボタンを押していた。 出る保証は何もない。 案の定何度目かのコールの後に留守番メッセージへと切り替わった。 そのまま通話終了のボタンを押す。 するとすぐに着信画面が表示され奴から折り返し掛かって来た。 通話のボタンを押すと『もしもし』と久しぶりに聞く奴の声。 「もしもし」 『誕生日おめでとう!最近全然会えなくてごめんな!』 誕生日ぐらい会いたいのにって素直には言えない。 「別に会いたく無いし!」 いつもの悪いクセ。 きっと電話越しの奴は苦笑いしているであろう。 『へぇ?それは良かった!』 まさかの肯定で返して来る。 「全然良くないっつーのっ!!」 俺は怒鳴って電話を切った。 悪いのは素直じゃない自分だと、充分に分かっている。 折角久しぶりの電話だったのに... 「バカだなぁ?オレ...」 切ってしまった電話を後悔しながら見つめる。 掛け直して......くれないよな。 鳴らない電話。 諦めてテーブルに置いた。
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