第09説 初春の転校生

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第09説 初春の転校生

 春休みを目前(もくぜん)にして転校するということは、それだけでも驚くことだが、もっと驚いたのは自分の(ほか)にもう一人、転校生がいることだった。事前に知らされていなく転校初日、少し緊張した面持ちの中で銀縁(ぎんぶち)()(がね)を掛けた若い女性担任の(おお)()(なぎさ)先生に告げられた。一応は転校に慣れていた為、朝礼時に行われる自己紹介の挨拶(あいさつ)容易(ようい)だった。自分が(さき)に自己紹介を済ませた後、隣にいる自分と同じく転校生の虎耳(とらがみ)(ゆい)()華奢(きゃしゃ)な身体で少し背伸びをしながら黒板に自らの名前を書いていた。虎耳(とらがみ)自身も両親の都合で引っ越して来たらしい。最後に担任の大神渚先生が締めである決まり文句を言う。 「ということで、今日から2人はクラスメイトです。みんな、仲良くしてね。虎耳(とらがみ)さんや和泉(いずみ)君も分からないことがあったら、先生や周りのみんなに聞くと良いからね。それじゃあ、授業を始めるよ。日本史教科書P.13*平安時代のページを開いて…」
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