第10説 信太森葛葉稲荷神社

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 例の鳥居マークは、信太森葛葉稲荷神社の地車(だんじり)小屋(ごや)横にある石鳥居前で止まっていた。悪戯(いたずら)かどうかが分からない上に意味も分からない。そう思いながら、連なる朱色の鳥居を(くぐ)っていると(すえ)(やしろ)の真隣にある樹齢(じゅれい)二千年余りの神木(しんぼく)である千枝(ちえ)(くす)の前には先客(せんきゃく)がいる。そこには、虎耳(とらがみ) (ゆい)()がいた。虎耳(とらがみ)は神木(もと)にある(せき)()を目の前にして、しゃがみ込みながら何か独り言を(ツブヤ)いている。でも、それは誰かと話しているようにも見えた。そう思っていると、虎耳(とらがみ)境内(けいだい)奧にある信太森(しのだのもり)へと消えて行った…。
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