第17説 夕刻ノ逢魔ガ時

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第17説 夕刻ノ逢魔ガ時

 夕方、信太山管轄(かんかつ)の新人警官が(ひと)()のない路地を防犯(ジュン)(カイ)していた。すると、途中の電柱で“あるもの”が貼られているのを見つけた。それは鳥居の地図記号がペンキの(よう)な赤字で書かれている奇妙な()札だった。なにかと思ったが、誰かの悪戯(いたずら)だろうと思い無視した。  しかし、奇妙な視線を感じて後ろを振り向く。すると、知らぬ間に御札はなくなっており、五寸釘が打ち付けられている(さか)さまの(わら)人形に変わっていた。怖くなった警官は(あわ)てて、その場から離れようとするも、突然(ぜん)(ぽう)から居ないはずの子供たちの笑い声が聞こえてきた。(オソ)(オノノ)いた警官は思わず、しゃがみ込んでしまった。そして、周囲から子供たちの歌い声が聞こえてくる。 『かーごめぇかーごめぇ (カゴ)の中の鳥はぁ いついつ出やるぅ 夜明けの晩にぃ 鶴と亀が()べったぁ 後ろの正面…』 子供たちの声が()んだと思った次の瞬間。 『ダアレ?』 耳元で一人の子供が(ササヤ)いた。それと同時に藁人形から得体の知れない人影が出てきて、警察官の全身に(おお)(かぶ)さった。 "うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああ" ?????????????????????????????????????? 「どうかしたのか?今日は少し遅かったじゃないか。」 「嗚呼(ああ)、すいません。巡回(ジュンカイ)中に道案内を(たず)ねられて‥」 「そうか。それは、ご苦労様だったな。」 「ええ‥」  一匹の野良猫が信太山交番の前を通りかかった。すると、その野良猫は警察官の足元を見るなり、(あわ)てて逃げ去って行った。
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