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第21説 無影無踪
「それは、どういうことだよ?」
「それよりも、ここから離れて。早く!」
虎耳は聞く耳を持たず、足早にその場から離れようとしていた。すかさず、虎耳を止めようとしたその瞬間、後ろから断末魔が叫び響いた。
『後ろの正面は、お前らダアアアアアアアアアアアア』
思わず虎耳と共に振り返るが、この世とは思えぬ光景を目の当たりにした。まるで、ゾンビのように立ちすくむクラスメイトたち。さっきまで倒れていたのが、ウソのようだった。すると、前方にいる一人が自分たちの方に向かって走ってきた。それを合図するかのようにして、後方の人たちも続けて追いかけてくる。
「だから、言ったでしょ。早くって!」
虎耳の言葉にハッとさせられた自分は無我夢中で走り出した。
「これから、どうするんだよ。」
「神社の境内に逃げ込むのよ!」
虎耳の提案に賭けるしかなかった。走りながら後ろを振り向くと、差し迫る勢いで自分たちに近づいていたがあることに気がついた。自分たちにあって、失踪したアイツ等にないモノ。それは、人影だった。
「和泉くん。もう少し!」
前方にいる虎耳の声援で、押され気味に疾走した。
「あと少し!」
先に境内の石鳥居前に着いた虎耳が自分を鼓舞する。
「おりゃあああああああああああああ」
虎耳の励ましに呼応する形で自分は雄叫びを上げた。
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