第22説 周章狼狽

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第22説 周章狼狽

 虎耳(トラガミ)のおかげで間一髪、境内の石鳥居に逃げ込めた。すると、追いかけてきた()(エイ)のクラスメイトたちが鳥居を越えようとした途端、たちまち身体が人型の式神に(へん)()した。そして、石鳥居を(くぐ)り抜けることが出来ず、そのまま勢いよく塗り壁に貼りつく様にした地面に滑り落ちた。 「なんだよコレ…」  一瞬の出来事に呆然(ぼうぜん)と立ち尽くすなかった。 そんな中、後ろから女性の声がした。 「この式神は、旧(おお)()家のモノじゃよ。ここに家紋があるじゃろ」  神木の木漏れ日に現れたのは、境内の(あるじ)*葛ノ葉さまだった。
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