第終説 虎耳の告白

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第終説 虎耳の告白

 境内から出るのは危険だと判断した葛ノ葉さまは、すぐさま自分を姿見の井戸から脱出するように仕向けてくれた。社務所の(かたわ)らにあった竹製の(はし)()を借りて、例の井戸に掛けて()りる。井戸の内部は、自分が思っている以上に深かった。徐々に入り口の光が見えなくなる。井戸底に辿(たど)り着くと、再び梯子を(のぼ)る。井戸の梯子を上っていくにつれて、出口の光が見えてきた。梯子を上りきると、そこには見慣れた光景が広がっていた。自分が辿り着いた先は、旧校舎横にある古井戸だった。そして、目の前の葛葉(くずのは)グラウンドには、ある二人がいた。それは、虎耳(とらがみ)(おお)()先生だった。 「和泉(いずみ)くん何故(なぜ)、ここに来たの?」  自分に気づいた虎耳が問いかけてきた。 「それは…」  答えに行き()っていると、虎耳(とらがみ)の前いる(おお)()先生が話に割り込んできた。 『お前ら、そういう関係だったのか?』 「和泉くんは、関係ないわ。」     
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