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透かさず、虎耳が言い返した。虎耳の言葉を無視して、大神渚先生は自分の方へ身体を向ける。すると次の瞬間、やり投げのようにして大神先生が何かを投げつけてきた。突然の出来事に自分は全く反応できず、身体を腕でかばうしかなかった。すると突如、目の前に影が飛び込んできた。両腕を広げると、目の前には虎耳が倒れていた。
「虎耳!!」
咄嗟に自分は、虎耳へ駆け寄る。
「ごめんね。和泉くん、こんなことになってしまって…」
「しゃべるんじゃない!」
虎耳の華奢な身体には、無数の五寸釘が打ち付けられていた。
「でも、これでいいの。これで…」
「どういうことなんだ?虎耳…」
口から血を流しながら、弱々しい声で、自分の問いかけに答えてくれた。
「本当の私は、人間じゃないの。虎の残像…私の先祖は、鵺。そして目の前にいる大神渚の先祖も同じ。」
「ありがとう、和泉くん。これで、すべてが終わる。サヨウナラ…」
「虎耳!しっかりしろよ。虎耳!虎耳!…」
『事実は小説よりも奇なり!なんてロマンティックな末路なんだ』
虎耳の残声を遮るようにして、大神渚先生が叫んだ。
「虎耳を返せ!」
自分は睨みつけるようにして、激怒した。
『次は、お前ダアアアアアアアアアアアア。』
自分に向かって、報復宣言をしたその時-。
『アアアアアアアアアアアアアアアアアア』
突然、大神が声を震わせる。そして、そのまま絶命した。混乱する中、天から声が聞こえた。
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