エピローグ*大阪夏の陣

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エピローグ*大阪夏の陣

 旧校舎の屋上に寝転がる一人の喪服姿の少年は満月を見上げながら、夜空に向かって一言(ひとこと)()い放った。 「(しん)使()であろう貴女が、血祭りで死ぬ(いん)()だった彼の為に(きん)()であるはずの"言霊(コトダマ)"を使()(えき)し、その災厄(さいやく)を回避した。その結果、嗚呼(ああ)なり。」 羽衣の(ごと)く天から舞い降りた葛ノ葉は無言のまま、その少年の言葉を聞き入っている。 「まあ、()地蔵様も、きっと分かってくれる(はず)さ。それよりも、もう時間はないよ。お彼岸入りの"神判(シンパン)"の時は近い。残念ながら、それは君にとって“神の傾国(けいこく)事件”以来の厳しい判断が下される。」 『分かっております』 (かしこ)まりながら、返事をする葛ノ葉。 「それでは、秋の彼岸明けの地獄機関直属*閻魔()(もん)委員会の召喚で再び会おう。」  その少年は葛ノ葉に一言(ヒトコト)()げると、葛城山(かつらぎさん)方面の闇雲の中へと消えて行った。                               (おわりの始まり)
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