9人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、いえ。俺はなんて言うか、その猫の、えっと、飼主ではないんだけど、最近まで」
「あ、もしかして、この毛布の?少し前から毛布が増えてるって思ってたんです」
「あ、そうです。その毛布は俺が買った物です。もしかしてー、あなたはそのバスタオルの?」
「あ、はい。このバスタオルは私がジジにあげたんです。あっ、ジジって言うのは、私が勝手につけた名前なんですけど」
「もしかして、魔女の宅急便から?」
「そうです」
「へえ、俺は、ガレって呼んでます。ガレージにいたから」
「あはは、ガレ君かぁ。
でも何で私のバスタオルだって分かったんですか?」
「作業場の人に手紙で教えてもらいました」
「手紙?へえ、私は電話でした。シャッターに少しはげかかってるけど工務店の電話番号書いてあるでしょ?そこに電話してジジの事聞いたり」
そんな会話をガレの前でした。
ガレはそんな事はどうでも良いと言う風に毛布の上で寝ていた。
それから、2人で1時間はガレの不思議な力の話しをしただろうか?
彼女もやはり俺とは違う駐車場でガレと出会っていた。
彼女が最愛のお母さんを病気で亡くしてすぐだったそうだ。
そんな時に、ジジに助けられたと言っていた。
ジジのお陰でやっと元気を取り戻したと思ったら、彼女の前に現れなくなったそうだ。
その後は、日曜日の昼間に
たまにジジに会いに来ていたと。
彼女は、俺の話しも興味深そうに聞いてくれた。
その間、彼女はガレを笑顔で優しく撫でて、たまに
「そうだったんだあー、ジジ」と
話しかけたりする。
シャッターの隙間から陽がさして
そんな彼女の横顔に当たる。
その横顔は、とっても美しかった。
俺は、彼女に
「来週もここに来て良いですか?」と聞いた。
彼女は「もちろん、って言うか、私もお邪魔してる立場ですし」と
とても可愛い笑顔で答えた。
ガレ、俺は
お前以外にここに会いに来たい人がもう1人出来たよ。
ありがとな。
完
最初のコメントを投稿しよう!