第2章

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それを読んだ俺は、何だろう? ガレにフラれたみたいな。何も言わずに姿を消した彼女かよ。 しばらくガレージでボーッと立ち尽くしてしまった。 翌日、嵯峨野屋さんに ガレの事を相談に行った。 恐らく俺は泣きそうな顔をしていたのかもしれない。 福ちゃんが珍しく、座布団から降り、俺の足に擦り寄って来た。 嵯峨野屋さんは 俺の話しを全部聞いた後 「と言う事は、ガレ君はどこかガレージからそう遠くない場所で誰かを待ってるって事でしょ? 探して見たら? いつもの駐車場以外に、近くに月極駐車場ないの?」と。 そうだ。 何で俺は同じ場所ばかり探してたんだ。 嵯峨野屋さんにお礼を言うと 仕事終わりで一目散に、ガレージそばの月極駐車場を探した。 あった。 うちのアパートを越えて 左に曲がると大通りに出る。 その右側に広い月極があった。 俺は、ガレー、ガレー、と呼びながら、その駐車場内を探し回った。 すると1番奥の方、大通り側からの出入口の所にガレがいた。 ガレは俺を見ると、か細い声で ミャフッと言った。 「ガレ、誰か待ってるのか? お前が待ってるのは、もう俺じゃないんだな、なんか淋しいよ」と言ったが、ガレは俺の方を見ない。 ずっと大通りの一点を見つめて動かない。 そう、俺が初めてガレを見つけた時と同じ。 そうか、俺はもうガレを卒業させられちゃったんだな、とその時思った。 ガレには「どうしても、お前に会いたくなったら、休みの日の昼間ガレージに行くな」と言って アパートに帰った。
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