9人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
朝はほとんど寝坊だ。
急いで身支度し、何も食べずに会社に行く。
営業と言っても俺のエリアは半径3~4kmの狭い、小さな繁華街とシャッター通り商店街があるような地域だ。
毎度訪問する先も自然と決まって来る。
テレアポで求人の情報が取れた時はラッキーな位で
ネット社会で紙媒体の地域情報誌なんて、高齢者しか読まない。
俺はこの会社に入って3年目だが、営業成績は毎回下位。
上司からは「柴田君さぁ~、今時訪問するだけじゃ、な~~んにもなんないんだよ?君さ、そもそも覇気が無いもん、なんかスポーツの話題とかさあ、店主との共通点探して話すとかさぁ~、ここ使ってさあ」と自分の頭の横を指差して説教される。
そんな時も俺は、この上司の
鼻の脇にある大きなイボのようなホクロをジッと見てしまう。
この日も何軒かあたったが
一軒も広告は取れず、それでも
なんだかんだ雑用を言いつけられ
帰りは定時を2時間超えた8時。
これもサービス残業で残業代など付いた事がない。
毎日同じコンビニで同じ時間に
同じような物を買い、ほぼ同じ時刻に、駐車場の脇を通る。
何気なく、昨夜猫のいた場所に目をやる。
黒猫は同じ場所で、ジッと動かず
こっちを見ていた。
最初のコメントを投稿しよう!