第1章

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翌日もその又翌日も 黒猫は同じ場所で、ジッと俺を見ている。 もしかして、お前 俺の事を待っているのか? この頃には、そんな気分にもなる。 彼に遭遇して、5日目 俺は意を決して、駐車場の中に入ってみた。 黒猫はジャリの音にも動じず 動かない。 俺は姿勢を低くして、右手をだしながら、間合いを詰める。 その時、左手に持っていたコンビニのビニール袋を落としてしまった。 あっ、と一瞬 コンビニ袋に目をやったその隙に 黒猫は停車している車の後ろ側から金網の下をくぐり、隣の家の庭に消えた。 俺はどこかで、黒猫に 待っていて欲しかったのかもしれない。 いつの間にか、アイツは俺を待っているんだと、だから 俺が差し出す右手に体を擦り寄せるに違いないと。 そんな風に思っていた自分が バカに思えて ふんっと強く鼻息を吐いた。 その後も、黒猫は駐車場の同じ場所で俺の帰る時刻にそこにいる。 なんなんだよ。 誰か俺の後に帰って来るやつを待ってるのか? 俺はその黒猫が気になって仕方がなくなっていた。
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