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好き。 お前が。好き。 告白か……なんて。 俺が好きなのは男子だし。 ガチで終わってる。叶わない。俺はそんな事分かってるはずなのに。 好きだって言いたいんだ。 俺は渡邉未来。 女子みたいな名前だねってよく言われるけど、俺はそんなに気にしてない。 というか寧ろそんなのに気を遣うくらいなら、この男子が好きになっちゃう性格何とかしたい。実際、今だって、隣に座ってる男子にドキドキしっぱなし。 「みーらいっ!」 びくっと肩を上げてしまった。寂しげな顔をする、こいつは仲田脩人。俺と同じ学年。 「あ、ごめん。どしたの?」 「ちゃんと聞いてろよーっ!」 ぷくーっと頬を膨らませそうな程に単純な怒り方に吹き出してしまう。 「あははっごめんごめん。それで?」 「笑うなーっ!………はぁ、ま、いっかぁ。うん。まぁそれで、学校にお化けがでるって噂が半端ないからさ、ちょっと見廻りしないかって話が出たんだよねー。生徒会で。昨日お前休んでたろ?」 おばけかよ………。俺、おばけとか幽霊とか苦手なんだよなぁ。 …………………なんて。言ったら絶対馬鹿にされるからここは適当に誤魔化して。 「休んでたね、うん。俺は別に見廻りしていいよ。お化けなんてどうせ女子が騒いでんだろ?」 沈黙。 えっ何かやばい事言っちゃった……? 「…………俺も見たんだけど。」 「……………は」 「いや、だから。俺も見たの。」 「……………え」 「あーもうっ!だぁら、俺も見たっつてんの!!」 ここまで言われて、気づく。 脩人も、お化け見たんだ。 「ガチで言ってる?」 心にもなく、素っ気ない言葉。 「ガチだよ。未来ってそういうの信じない?」 脩人は俺の顔を覗き込むようにして首を傾げる。 「信じない……かなぁ」 「えっ何その間。」 俺は適当に誤魔化す。ここで色々喋っちゃうと、お化けが怖いとか感が鋭いこいつにはバレかねない。 その後、お化けについて色々話して、見回りの事を聞いた。 「じゃぁ、今日か。夜の……8時」 「うん。じゃあね。会長。」 手を振る脩人に、笑って、歩き出した。
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