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「大丈夫、大丈夫。自分もここで働くんやから、堂々としてくれてええねんで。分からん事あったら、周りの奴らに聞きや」
「ありがとうございます」
大は、ほっとしたように微笑んだ。
「ほな、これからよろしく。
事前に聞いてるやろうけど……うち、すなわち「人外特別警戒隊」は、京都の有力な神社の氏子区域で管轄を区分けしてんねん。
上賀茂神社、下鴨神社、今宮神社に北野天満宮、松尾大社に伏見稲荷大社……ほんで八坂神社、ってな感じにな。
ここ八坂神社事務所、喫茶店「ちとせ」は、その名のとおり八坂神社の氏子の範囲を担当しとる。
普段は喫茶店、通報があれば、基本的に、管轄内での人外の対応。
俺ら正規の警察とほとんど一緒にやるから、警察関係の事は俺と玉木に任したらええしな。それと……」
一区切りして、深津は書類を一旦テーブルに置いた。
「自分の名前の読み方、こがまさる、でいいんやんな?」
「はい」
「確認のためにもう一回聞くけど、女の子で間違いないな? まぁ、その顔立ちでかんざしも巻いてて、男やったらびっくりするけど」
「はい」
自分の名前と性別を問われるのには慣れているのか、大は特に気にする事もなく何度も「よろしくお願いします、頑張ります」と頭を下げた。
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