第四話:華やかお転婆、祇園が狙う3

23/31
3410人が本棚に入れています
本棚に追加
/444ページ
 京町家の提灯の下、まさるは腕の中の綾をそっと覗き込む。目を閉じてはいるが、胸は規則正しく上下していて、無事らしい。 ほっとしていると、彼女は小さく唸って瞼を開けた。そして数秒、まさるを見つめて瞬きをしたかと思えば、弾かれたようにまさるの肩を押しのけた。 「嫌ぁっ、あなた誰! 離して!」 まさるは慌てて綾の腕を掴み、柳のような腰をかき抱いた。 また一人になったら危ない、と思っての行動だったが、まさるは喋れないし、伝えられない。 なので綾がそれを理解するはずもなく、ますます暴れるばかり。 必死の形相そのものに、まさるは尻持ちをつき、体が離れた。その隙に綾が裾を翻して逃げようとすると、まさるは音を立てて、女の姿である大に戻った。 「えっ……女の子?」 綾の足が止まる。大は元の理性を取り戻し、ただちに「まさる」が伊集院を倒し、綾の保護に成功したのを把握した。
/444ページ

最初のコメントを投稿しよう!