1人が本棚に入れています
本棚に追加
目を開けたそこは、よく知る自分の部屋だった。
なぜか床に寝転がっていたけれど。
「…帰ってきてしまった」
もう少し王子様といたかった。
心の中が悲しみでいっぱいだわ。
「にゃー」
「もも…いたの」
私の傍らには、家で飼っているちょっとおデブ気味の猫、ももがいた。
冬場はこの大きな身体が温かくて湯たんぽ代わりになるのよね。
王子様との別れの悲しみとさみしさの後には、この奇跡を話したいという欲求が湧いてきた。
こんなとき、いつも話を聞いてくれていたのはあの女友達。疎遠になろうだなんて悪かったかしら。でも…。
「にゃーお」
「そうよね、話したらまた何か言われそうだわ。これは私の胸のうちに秘めるべきよね」
「にゃー」
ももが擦り寄ってくると、あたたかな体温に王子様のぬくもりを思い出した。
「私、これからも王子様一筋でがんばるわ」
王子様への貢ぎという名の愛の証明を、私はさらに頑張ろうと決意する。
今できた新しい夢は、もう一度王子様と会って、今度はデートすることよ!
終
最初のコメントを投稿しよう!