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終わったはずなのに終わらせるつもりのない晴馬が私を抱きしめた。
雨のように降り注ぐキスの中で、私はやっと薄目を開けて彼を見つめた。
「私はご褒美でも罰でもなんでもなく、ひとりの女だし、晴馬の奥さんだから。
どこにもいかないよ?
ずっと、ずっと晴馬の隣にいるって約束したんだもん・・・嘘は言わない。
果たせない約束なんかしないんだから。
信じてくれなくちゃ、苦しいよ」
「夏鈴・・・愛してる・・・愛してる・・・俺の夏鈴・・・」
思えば、この時の晴馬の勘はすべてあたっていた。
呑気に考えていた自分の甘さを呪うほどに・・・。
自分の意思とは関係なく、突然その時はやってくる。
力づくで人生を奪われて行った人たちの叫びがまだ、この時の私には届いていなかった。
悪い予感から目を反らしていた。もっと、晴馬の言葉を信じるべきだったんだ。
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