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起きていながら見る夢を白昼夢という。
でも、今はまだ夜中だった。
突き動かされて車のキーを握りしめると、私はパジャマのまま靴をひっかけて外に飛びだした。
お母さんが攫われた!
殺人者がやってきて、私じゃなくお母さんを攫って行った!
吐き気がこみ上げてくる。
アクセルを踏みながらハンドルを切る。
暗い漁村の街道を突き抜け、町営病院の前を通過してそのままアイツの脚跡を追いかけた。
起きているのか夢の中にいるのか、よくわからない状態だ。
今、感じるのはお母さんを一秒でも早く取り戻すことだけ・・・。
死なせない!
助けたい!!
異常なほどに勘が働いて、犯人の行先を辿ることができた。
夜の河原にひっそりと建つプレハブ小屋に近付くと、あの男がお母さんを襲おうとしているところだった。
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