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ヴー、ヴー……
あたしの携帯が微かに振動した。
今は着信なんて気にしている場合じゃないので放置。
だって―――
『俺と、付き合ってください』
クラスメートの加瀬くんから、人生初の告白というものを受けたんだから。
あたしが驚きで固まったまま、ただ時間だけ過ぎていく。携帯はまだ振動したまま。
「あ、えっと、こんなこと急に言われても困るよね。返事は後で良――」
「……良い、よ。よろしく……お願いします」
気づいたら言っていた。もう、片想いは辛かったのかもしれない。
だって、加瀬くんと付き合っているうちに好きになるかもしれない。
片想いからサヨナラ出来るかもしれない。そう思うと、揺らぐのは自然なこと。――自然なことなのかな?
まぁ、そう簡単に凪兄ちゃんへの気持ちが消えるとは思えないけど。
だから。あたしは無意識に、辛くて苦しいことから、自分の気持ちから逃げた。
加瀬くんを利用して――
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