平行線

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*** ヴー、ヴー…… あたしの携帯が微かに振動した。 今は着信なんて気にしている場合じゃないので放置。 だって――― 『俺と、付き合ってください』 クラスメートの加瀬くんから、人生初の告白というものを受けたんだから。 あたしが驚きで固まったまま、ただ時間だけ過ぎていく。携帯はまだ振動したまま。 「あ、えっと、こんなこと急に言われても困るよね。返事は後で良――」 「……良い、よ。よろしく……お願いします」 気づいたら言っていた。もう、片想いは辛かったのかもしれない。 だって、加瀬くんと付き合っているうちに好きになるかもしれない。 片想いからサヨナラ出来るかもしれない。そう思うと、揺らぐのは自然なこと。――自然なことなのかな? まぁ、そう簡単に凪兄ちゃんへの気持ちが消えるとは思えないけど。 だから。あたしは無意識に、辛くて苦しいことから、自分の気持ちから逃げた。 加瀬くんを利用して――
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