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駅前で加瀬くんと別れ帰路につき暫く歩いていると、凪兄ちゃんを見かけた。
無意識に目をそらす。
が、彼のほうはこちらに気づいたらしく、走ってこちらへ来る。
あっという間に追い付いて、ゼエゼエ言いながらも呼吸を整えていた。
汗に濡れる凪兄ちゃんもまたかっこ良……じゃなくて。ダメなんだって、凪兄ちゃんは。
「えぇっと……あのさ、俺……その……っ、……桃香、帰る時間遅くない? 部活も入ってないのに。あ、もしかして文化祭の準備とか? いや、中学には文化祭ないんだよね」
つらつらと言葉を並べる凪兄ちゃんに唖然呆然。
……でも、これで暫くまた挨拶しか交わせないと思うと、淋し――じゃなくて、それでいいの。これからあたしは加瀬くん一番にならないといけないの。
「うん、文化祭の準備じゃなくてね、……実は、クラスメートの子に告白されたの。それで遅くまで教室に残ってて。……それでね、加瀬くん……クラスメートの子と、付き合うことになったんだ」
「……え?」
今度は凪兄ちゃんが唖然呆然。
なんで? 凪兄ちゃんは萌花さんという彼女がいるのに、あたしに彼氏ができるの、嬉しくないの……?
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