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 もっと大きくなった。  あの人が頭を撫でに来てくれた。僕は忘れていた顔の動きをし た。唇の端っこが上がったんだ。長い棒をくれた。メモを渡される。 「カイ こんにちは きみのおかあさんの ゆみを もってきたよ」 「おかあさん って だれですか?」  時間がかかって、字も間違えながらそれを書いた。その人はまた抱きしめてくれた。優しい手だった……。  体を揺すられていた。目を開けると ステラ だ。 ――時間よ、カイ もう 起きて―― 時計を見て慌てた。 ――どうしよう―― ――大丈夫、今日は機嫌がいいから――  ぼくはホッとした。急いで着替えて支度をする。学校に行けるから少しの間だけ頑張ればいい。  なのにコップを落とした。ステラが慌てて拾ってくれた。周りを見回す。 ――大丈夫だったみたい 気をつけて――  僕は大きく頷いた。気をつけなくちゃ。よく周りを見なくちゃ。  ちゃんと朝ご飯を食べられた。ステラと早くに家を出て、また公園に行った。 ――よく見てね―― ステラが指を動かす。新しい形。真似をする。何度も真似をする。 ――風―― 口がそう動いた。風って何だろう。  空気が大きく動いた。ステラが笑って、その空気の中で手をゆらゆらしてくれた。 ――風――  突然分かった。手を広げる。立ち上がった。目を閉じて手を空に突き出した。大きな空気が僕の手に当たる。  ステラを見て、指を動かした。 ――風――  ステラが笑って頷いた。ステラの髪が揺れている。その髪を触った。 ――風――  またステラが頷いた。手を空にもう一度伸ばす。  目を閉じたら、手にぶつかる―風―が何かの音をくれた。 (音だ!  音がする!) ――ステラ 音が する―― 驚いた顔が僕を見上げた。 ――聞こえるの?―― ――聞こえる 手に聞こえる  ステラ 音だ――         
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