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 その中にいきなり大きなものが入って来た。僕は必死に逃げようとした。 (助けて! やめて! いやだ!)  箱の中から全部が飛び出してきた。おじいさまの折檻は止まらなかった。どんどん奥に入って来て出たり入ったり、たくさんの罰を与えられた。  動くのが急に止まって、僕のお尻の奥におじいさまのおしっこが溢れた。  苦して、痛くて、涙が止まらなかった。僕は服と一緒に廊下に投げ出された。 (泣いたからいけないんだ  箱を開けたからいけないんだ) そう、思った。  それからは泣かずに、箱も開けずに、ゆらゆらするようにした。おじいさまは優しくしてくれた。  ある時、おじいさまが何度もして、あんまり辛くて泣いて廊下に捨てられた。そのまま気を失って、目が覚めたらステラの部屋にいた。  ステラが泣きながら僕の体を拭いていた。  あれからステラは優しくなった。僕を嫌っていたステラが変わった。ステラがいつも僕を助けてくれた。  『手話』 それもステラが教えてくれた。言葉を教えてくれて、そして  ――風―― を教えてくれたんだ。  ステラが勉強を教えてくれて僕はそれが楽しくなった。誰とも話をしなくて済む。のめり込んだから、ステラがおじいさまと奥様に大学に行けるように頼んでくれた。  僕は無理だと思っていた。だって、それは迷惑だから。僕は迷惑をかけちゃいけないんだから。  でも、行けるようになった。喜ぶ僕にステラが泣いた。口が読めるようになっていたのに、僕にはステラの言ってることが良く分からなかった。      
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