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「ありがとうねぇ、梨沙子ちゃん。いつも私の話を聞いてくれて。
わしゃ身内が居ないし、ずうっと一人だったから話相手が出来て嬉しいんよ」
「この前の投稿読んだよ、有村さん。私も○○しようって思った。
今まで知らなかったことに気付かせてくれてありがとう」
初老の老婆から若い女性まで、その映像の中では多くの人が笑っている。
母親も涙を流して喜んでいる。良かったねぇ、と安堵の表情を浮かべている。
「・・・何ですか、これは」
画面を注視し、私は呟くようにそう言った。
画面の中の私は何をしているのだろう?
少なくとも、今の自分より幸せそうだ。
「何ってコレ、復讐に囚われなかった時のキミ」
「な、何それ・・・」
意味が分からないと思った。ひょっとして、この妖精は意地悪をしているのではないだろうか?人生で一度も良いことがなかった私のために、せめて、こんな良い人生が歩めたかもしれないという事を伝えたかったのだろうか。
「有り得ないわよ、私がこんな幸福な人生を歩むなんて。
有り得ない、私の人生は生まれた時から不幸だったの、そうに違いないわ」
そうだ、そうに違いないと心の中でそう叫んだが、
胸に湧き上がる違和感はどうしても拭い切れなかった。
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