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「君も幸せな人生を歩める可能性があったのに。
本当に死んじゃうなんてバカだね~皆もきっと君の事笑ってるよ」
「・・・良いですよ、今更後悔なんかしても遅いですから。
さっさと天国へ連れてって下さい」
天国に行くのか、それとも地獄に行くのか。
完全に善人とも言えないから、地獄へ連れて行かれるのか。
どちらでも良い。どっちでも良い。どちらでも良いから早く未練の残らない場所へ連れて行って欲しかった。気持ちが溢れて拭い切れなくなる、その前に。
「誰が天国へ連れて行くといった」
しかめっ面をして妖精は言った。
え、まさかの地獄?予想外の事態に目を丸くする。
「君には一回地上に降りてもらう。自殺生還者のお手本として、実験台になってもらうんだ。良いか、間違ってもスペチュ・・・なんとかいうモンに目覚めるなよ」
「な、何を言って―」
「一日に平均90人。ー日本人の自殺者の数だ。病死や事故で死ぬならまだしもー何人、何十人と自殺する奴の世話をするワシの身にもなっとくれ。
ぶっちゃけ面倒臭いんじゃ。未練があるから連れて行くのにも時間掛かるし。小言なんか聞かされて、こっちも気が滅入りそうじゃ」
ハッキリとした口調で、初老の男性ーもとい、妖精はそう言った。
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