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「・・・もうやり直しは出来んのか?本当に、そう思うのか?」
「・・・分からない、だって考えたことも無かったから。
正直、このままで良いとも思ったし」
「誰よりも、クラスを愛しているからこそ強くそう思うんじゃないのか。
お主、顔に『とても悲しい』と書いてあるよ」
これ以上話を聞くと、涙が止まらなくなりそうだった。
溢れんばかりの感情を抑えながら、息を吐いて私は言った。
「やってみるよ、爺さん。出来るかどうかは、分かんないけど」
「うむ、その心意気じゃ。あと誰が爺じゃ。
ワシの事はイケメン妖精と呼べい」
分かった、と力強く頷いて、光輝く扉の前に立った。
期待と不安で、脈うつ心臓の音が早くなる。
「分かってると思うが、二度目はないぞ」
「はい、解ってます。でも、どうしても死にたくなったらー
自殺とか考えるのも駄目ですか?」
「考えるくらいは良いじゃろ。でも、実行する前にもう一回考えい。
『復讐と悲しみに囚われず、前向きに人生を生きてるかどうか』って事をな」
妖精に連れられ、地上に降りる。
これからどうなるのだろうか?全てが上手くいくとも思えない。
過去に背負った大きな傷が、そう簡単に塞がるとも思えない。
(―だけど、私はやってみせる)
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