RESET~幸福な人生~

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RESET~幸福な人生~

『何一つ良いことのない、とても最悪な人生だった』  そう遺書を書き残し有村梨沙子こと私は、自ら命を絶った。 集団競技の班分けで一言も会話を交わしたことの無かった繋がりの薄いクラスメイトと班を組まされ、練習をサボる人の注意係という損な役回り。おまけに雑用まで押し付けられ、ふんだりけったりの高校生活だった。 社会に出てからも理不尽ないじめや上司からのパワハラなどに遭い、生きてて良かった等と思ったことは一度もなかった。「いつになったら仕事を覚えるんだ」「甘やかされて育ったんだろう」冷たく、厳しい言葉を何度も浴びさせられた。日に日に悪化する職場のイジメにより、精神科通いを余儀なくされた。 (こんな世の中、早くブッ壊れてしまえば良い) 心の底からそう思っていた。これ以上生きていても良いことなどないし、いっそ転生した方が、良い人生を歩めるのではないか。消えない恨みや深い傷を抱えて生きるのも、もう限界だった。 「キミはいつまで復讐に囚われているんだ。 いい加減、前に踏み出せ。憎しみを喜びと感謝に変えろ。 そうすれば道が開けてくるぞ。本当じゃ」 天国に行ったら、初老の妖精が一言、パッと目の前に現れて言った。 死んでから言っても遅いけど。 一言付け足してそう言ったが、その声は何処か哀しそうだった。 「班決めでわざと知らない人ばかりのグループに入れられた? 新しい友人が出来て良かったじゃないか。特定の人とばかり付き合うより、視野も広がるし。物盗られた訳でもあるまいし、大袈裟な。 毎日パワハラに遭った?『自分は同じことをしない』と、人間的に成長出来て良かったじゃないか。それに、助けてくれた人も居たんだろう。 復讐にばかり囚われているキミに、その姿は見えないだろうがね」 偉そうな妖精だ、と思った。だけど、妖精の言葉が耳をついて離れないのは何故だろうか。私はなにか、とても大事な事を忘れていた気がする。 「ホレ、これが恨みつらみを消して更生したお前の姿じゃ」 パパパパーン。 妖精が杖のようなものを一振りすると、モニターが出現し、 そこにTVのような映像が映し出された。
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