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「ばーちゃん、俺も来たよ」
それに比べて、娘の実子―梨沙子と同い年で、やや難しい年頃ではあるが―
彼は、目に入れても痛くないほど愛おしい。
容姿、声、言動。全てが私によく似ている。
キリリとした目付きや二重は夫譲りだろうか?
愛する夫に似ている部分もあって、見ていてとても嬉しい気持ちになる。
「ユウくんったら…こんなに大きくなって~
ばーちゃん嬉しいわ~前よりずっと大人になったわねェ」
きゃあきゃあ、と囃し立てて彼の裾を引っ張る。
はしたないからやめろ、と夫には何度も注意されているが、
こればっかりは感情なので仕方がない。
「ちょっ…バーちゃんやめてよ。そんな歳でもないんだから」
「ああ、ごめんごめん。久々に会ったモンだから興奮しちゃった」
もう一人、娘には息子がいるけど、その子はあまり私に似てないのよねェ。
どっちかっていうと娘の旦那似かしら。そのせいか、あまり可愛くないのよねェ・・・
こんなこと、絶対本人に言えないけど。
(4人ともみんな、可愛いはずなのにねェ・・・)
どうしてか、私の中では孫の可愛さランキングなるものが出来上がってしまった。一番は、言わずもがな娘の息子のユウくん(23)。2番目は、梨沙子の妹、梨奈(21)。嫁の子供だけど、息子そっくりなのよね、この子。3番目は娘のもう一人の実子(26)。4番目は―目の前でじっと私を見詰めている、梨沙子(23)。
【娘の子供が一番可愛い。嫁の子供は可愛くない】
なんてよく聞くけど、本当にその通りだと思った。孫が誕生する前は、そんな言葉気にも留めていなかった私だが、嫁の出産後、その問題に直面することとなった。
「みんな可愛いのよ、みんな。でもねぇ、私はユウ君が一番…」
誰にも聞かれぬよう、小さな声でそう呟く。
全部、私が悪いのかしら。
梨沙子や、娘のもう一人の実子が私に似てないのが、そもそもの元凶じゃないのかしら。
だって、ホラ。自分と似てない子供(孫)ってどうも、ねェ・・・。
そんな苦し紛れの言い訳を、自身にそう言い聞かせながら。
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