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他人より秀ものが一つでも見つかると、親戚連中はこぞって姉を褒めた。
ぼんやりしてて、仕事も出来ない、
友達一人さえまともに作れない鈍真な姉が、チヤホヤされているのを見ると無性に腹が立った。
「あームカつくムカつく。どうせお姉ちゃん友達居ない癖に。
可哀想に、いつも一人ぼっち。まー無理もない、か」
フフン、と意地悪な笑みを浮かべてそう言うと、キョトンとした表情で
姉はこう言った。
「ありがとう、梨奈ちゃん。心配してくれてるんだね、梨沙子のこと。
姉想いの妹を持って私は幸せだよ」
ど、どんだけ空気読めないんだコイツ―!?
そう心の中で強く叫んだのを覚えている。嫌味や皮肉が通じないとは、さすが我が姉―。
いや、決して褒めているという意味ではなく。
「梨奈ちゃーん。梨奈ちゃんに前友達が居ないって言われて、
コミュニケーションの取り方を学ぶ講座に通い始めたよ。そこで友達も出来たの。
一人が楽、って思ってたけど友達居るのも楽しいね。教えてくれてありがとうね」
その1ケ月後―姉からそうLINEが来た。
なんだろう、この何とも言えない気持ち。強いて言えばムカつく。
社会的一般の物差しで見れば、『超幸福』の水準に位置する私なのに、
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