0人が本棚に入れています
本棚に追加
私はただ驚き、淡々と彼女の話を聞いていた。
「カッコ良いもんね、飛鳥君。梨沙が好きになるの分かる気がするよ」
顔をぽーっと赤くしてそう呟く朱音の、なんて可愛い事。
私の表情よりも数段顔が真っ赤だと思うのは気のせいであろうか。
「違う違う。アッコがあまりに言うモンだから、どんなに良いもんかと思ってみてただけ」
「でも、結構ガッツリ見詰めてたよ」
「え、え…そうかな…」
茜にそう言われ、思わずだじろく。
『私も、みんなと同じかな』と弱弱しい声で言っていたあの姿は、何処へ行ったのだろう。
少なくともこんな強気な彼女の姿を見たのは初めてだ。
「こりゃこりゃ、これはアンタ意外と苦戦するかもね」
傍で話を聞いていた別の女子(私の話を盗み聞きしてた人が、何人居たのやら・・・)
がツカツカと私に歩み寄り、そう声を掛ける。
「結構可愛いわよ、朱音。ホラ地味なカッコしてるからあんま目立たないかもしれないけど―
ああいうコは、化粧して着飾れば、見違えるように美人になるわヨ」
確かに、その通りかもしれない。バランスの整った顔立ちに、パッチリとした瞳。
肌は白く唇にも透明感がある。彼女は所謂『化ける』タイプの女子ではないだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!