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彼女がもしライバルの一員となったら、これは予想以上に手強い相手になるかもしれない。
「―って、好きなんかじゃないんだってば!」
「何、急にどうしたの」
「い、いや何でもない。アハハ・・・」
「何かおかしいよ、今日の梨沙。変なものでも食べた?」
怪訝な顔付きをする彼女の顔から目を背け、盗み聞きするように彼の姿を見遣った。
「あっはは、ありがとう。チョコ貰えるとか思って無かったからマジ嬉しい」
こんな、何処にでもいる男子の何処がモテるのか。
まるで分からないな、と呟きながらも瞳だけはガッツリ彼を追っていた。
「―梨沙ちゃん、ひょっとして…」
椅子から立ち上がった、彼女の声が、姿が再度脳内で再生される。
『これはアンタ意外と苦戦するかもね』と言って私をからかった同級生の姿も。
(私はどうなる?これからどうなるんだろう・・・?)
大きな期待と不安とが入り混じる。
それは今までに経験したことがないもので、それを誰かに打ち明けるのは恥ずかしかった。
「ふふ、へへへ・・・」
苦笑いが出たのは、気恥ずかしさのせいかはたまたそれを誤魔化すためか。
どちらにせよ、私はもう登ってしまった。『恋愛』に続く大きな一歩を、
もう既に踏み出してしまったのだ。
「恋なんて幻よ幻。あんなの一夜の夢限りだわーはぁ」
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