始まりの予感

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始まりの予感

今まで恋をしたことがありますか? そう聞かれたら日本人女性の大半が【YES】と答えるだろう。 かく言う私もその一人だ。 「今日はバレンタインデーだね、梨沙。何か家から持って来た?」 「友チョコだけ。好きな人なんていないからチョコは持って来てないよーん」 「えー本当?」 ニヤニヤと笑みを浮かべ、こちらを見詰めてくる親友。 彼女のこういった行動や仕草にはもうなれたが (恋愛事になると決まって茶化そうとしてくる)、ええいまたかいと思う時もある。 「本当だってば。疑うんだったらバックの中見せてあ・げ・る」 いつものように、おどけた口調で親友の席に歩み寄ったその時。 後ろから、華やかで楽しそうな女子の声が聞こえた。 「飛鳥あ~手作りで作ったチョコレートあげる。 シフォン仕込みだよーん。良かったら食べて」 顔を真っ赤にしてクッキーを渡す女子。 あれ、貴女前『飛鳥の事は友達として好き』って言ってなかったっけ。 「手作りして作ったチョコらしいよ。志帆も見掛けずによらずやるわね」 志帆、というのはチョコレートを渡した女子の名前だ。性格はどちらかとうとい男らしく、 恋愛に興味がある様子もない。それなのに、何故今顔を真っ赤にしてチョコレートを渡しているのだろうか、とクラス中で騒然となった。 「言うほどカッコ良いか?」 以前、この男子を『カッコ良い』と評している女子達が居た。 しかし、女子の言う『カッコ良い』『イケメン』という言葉ほど信用出来ないものは無いだろう。そう思い、わざと少し大きめの声で私はそう言った。
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