小説家を目指している女の子のはなし

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「父さんや母さんの為にも、一流の小説家になって、年収1億円位の大富豪作家になろう」 可能か不可能かは置いといて、私は本気で小説家を目指していた。 ただ、『こんな若いうちから目指さなくても』という母の意見や、 『なれなかった時の事も考えておけ』という父の進言の元、 本業を辞めてまで作家を目指そうとは思わなかった。 「梨沙子ちゃんは文才あるね。私、こんな文章書けないよ」 「直木賞取れるんじゃないの?ホント、文上手だねー」 親戚や友人は皆、口を揃えてそう囃し立てるが、 果たして何処までが本気なのだろうか。 全ての言葉を鵜呑みにして喜ぶほど、私は幼い子供でも無かった。 (ホントに小説家なんてなれるのかなあ) 鼻の上に鉛筆を乗せ、しばし考え込んだ。 以前、直木賞を受賞したという有名な作家さんの本を手に取って読んでみたら、 あまりにケタ違いの文章力で、恐ろしくなって途中で読むのを忘れてしまった。 「読者を著者の描かれている世界に引き込むほどの文章力」 「ストーリーが巧妙かつ繊細で、オチもしっかり纏まっている」 本屋の書評にも書かれていたが、全くその通りだと思った。 誰もが感動するような、素晴らしい小説はどうやったら書けるのだろう―     
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