ドキドキ☆保健室編

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ドキドキ☆保健室編

さんさんと輝く太陽に青い海。真っ白な砂浜を男女が追いかけっこしていた。 「おぉ~い、待ってよ、花子~」 「うふふ、捕まえてごらんなさい、健~」 花子と健であった。 瞬く間にふたりの距離は縮まり、花子は健に手を掴まれた。 「きゃっ、捕まっちゃったあ」 「浜辺だと僕の機動力は三倍になるからね」 きらりと白く輝く歯を見せて笑う健。イケメンだけあって、非常に歯並びがいい。 「すごい!赤い彗星みたい!」 「君のことも赤くしたいな」 「えっ」 スマートに健に抱き寄せられた花子は顎をくいと掴まれて、顔を上に向けられた。迫ってくる健のキレイな白い顔。 「そんなの赤い彗星というか、白い小悪魔よ!」 「うわっ、びっくりしたあ!」 突然ベッドから飛び起きた花子に、健は椅子から飛び上がらんばかりに驚いた。あれ、とキョロキョロと周囲を見回す花子。 白い砂浜は?というか私、体育館にいたはずじゃあ? 「山本さん、体育館で鼻血を出して倒れたんだよ。それで僕が保健室まで運んだんだよ」 「えっ、鼻血!?」 勢い込んで言ったせいか鼻から何かがスポンと飛び出て、布団の上に転がった。ふんわりとした純白の脱脂綿だった。 「ぷふっ!あ、いやごめん…」 悪いと思ったのか謝る健であったが、笑いをこらえているせいか、その肩は小刻みに震えていた。 花子、朝に続いてまたまた失態である。このままではタイトルが『失態の花子』となる日も遠くはない。 恥ずかしさに思わず顔を手でおおう花子であった。 「もう血は止まっているけど念のために、って保健室の先生が入れてたんだ。取れても大丈夫なはずだよ」 さりげなく花子の鼻から飛び出た脱脂綿を捨てるあたり、健はできる男である。 「あっ!ごめん、木村くん。そんな汚いの」 「ううん、気にしないで」 と言いつつ手を消毒液で洗い、さらにウェットティッシュで念入りに拭くあたりけっこう気にしている。 そんな姿も花子には、清潔感があって素敵!となるのであった。
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