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ライバルはお嬢様!?編
「あれ、エレナちゃんじゃない。久しぶりだね」
「えっ、あなたは花子!?なんでそんな今にもさらわれそうな体勢ですの!?」
「ああ、これには深い事情があってね」
米俵のごとく担がれながら遠い目をしている花子だが、深い事情なんて米粒ほどもない。
「山本さんのお友達?」
花子を担ぎながら涼しい顔をして健が聞く。花子を下ろして話をするという発想はないのだろうか。
「そうなの。幼なじみの」
「いやいや、とりあえず地面に下ろしてもらいなさいな花子。その体勢でお話をするのはいささかシュールにすぎますわ」
担ぎ担がれつつ話をしようとするふたりをエレナがとめた。見た目は個性的だが、常識はずれではないようだ。
というわけで保健室のテーブルについた3人。ちなみにそれぞれの前に配られた緑茶はエレナが淹れたものである。
「わたくしはカトリーヌ=エレナと申します。遠く英国の地からはるばる語学留学に来ましたの。父は世界的に有名な大企業の社長、母は世界的に有名なピアニストで、わたくしは生粋のお嬢様ですのよ!」
高らかに自己紹介するエレナを、花子と健はお茶を飲みながら見守った。
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